ドラキュラ版



「Aパートノーカット版」と呼ばれる事もあるバージョンで、最大の特徴はレコード版、脚本(決定稿)及びTNT版でのみ確認されていたAパート終盤が収録されている事。 この作戦室のシーンでソガが「まるで吸血鬼ドラキュラみたいな奴らだな」というセリフから「ドラキュラ版」と呼称されるようになった。

Aパート終盤の作戦室と百窓夜景は通常版では収録されておらず、長い間「幻のシーン」であった。存在そのものはレコード収録の音声と脚本(決定稿)に あるため一部で知られていたが、映像として広く認知されたのはTNT版が初めてである。しかし、TNT版は英語吹き替えがなされておりオリジナルの形ではなかった。 このシーンが収録された日本語オリジナルのバージョンであり、流通しはじめた時期が99年後半と比較的新しい代物である。

作戦室 百窓夜景
(左の作戦室シーン冒頭で「まるでドラキュラみたいな〜」のセリフがある。右は百窓夜景。手前に映っている自動車は本編では削除された「シーン27 洋館の庭(夜)」の名残か? シナリオではダンとフルハシがアジトの様子を見張っており、この自動車に乗っている設定だったのかもしれない)

この他の特徴として、「送・放・京・東」から始まるカウントダウンと通常版とは全く違う色調が挙げられる。 ドラキュラ版は通常版と違い、逆さ文字の「送・放・京・東」からはじまり、10から始まるカウントダウンが収録されている。このカウントの「1」に相当する部分が 通常版にも存在し、通常版がテレビ放送の録画ではなくフィルムをビデオに落とした証拠にもなった。また、メインタイトルとサブタイトルの間に6〜7秒程度の空白時間が ドラキュラ版にはある。本来は1分程度ありCMが挿入される箇所と思われるが、ビデオでは必要の無い部分として大幅にカットされたようだ。 色調に関しては画面全体が赤くなっており、本来の色が失われてしまっている。 しかし、それもAパートのみ。Bパートでは本来の色を取り戻し、検証したものはAパートに比べBパートのノイズが多くなっている。

結論するとドラキュラ版とは素材の違うAパートとBパートをくっつけたものである。Bパートは通常版と考えて間違い無い。色調が ガラリと変わる事もそうだが、決定的な理由としてBパート開始直前に一瞬百窓の家をバックにしたダンのシーンがあるのだ。ここのシーンは 通常版でのAパートラストに当たる。従来の「ビデオからビデオへのダビング」で編集したと思われ、細かいカットは難しかったのだろう。 では、Aパートは何なのか?

詳細は不明であるが、どうやら90年代に16mmAパートフィルムが私的にテレシネされたものらしい。 興味深い話として同人誌「被爆星人の逆襲」に『Aパートのみのフィルムをファンが所有している』と書かれている。残念ながら経緯などが書かれていないものの、 フィルムが赤く変色している事などからドラキュラ版の特徴と一致する。ただ、フィルムは劣化すると赤くなるので必ずしもドラキュラ版に使用されたフィルムと 同一であるという確証はないのだが……。
何故Aパートのみなのか、という事に対しても「Bパートはウルトラファイト用のフィルムとしてカットし、使用された」という説を件の同人誌では紹介している。

追記:2003年の同人誌「1/49計画U」では、このフィルムを借りて状態のチェックや試写を行った事が記されている。「被爆星人の逆襲」から更に年月が経っているため、赤みが増しており、フィルムにはカビがある旨が記載されている。また、ドラキュラ版のAパートのみのフィルムだけでなく、通常版の元となったフィルムも借りれたようである(所有者は別々との事)。この通常版も赤くなっていたそうだが、携わった人間は「自分の手元に一時的とはいえ、12話のフィルムが手の届くところにあったというのは、不思議な体験だった」と述懐している。(26年02月追記)
フィルム外観 フィルムラベル フィルム比較
(フィルム外観、ラベル、フィルム。右の通常版と比べてドラキュラ版はフィルムの量が少ないのが分かる)
フィルム冒頭部分 カビ部分 上映会タイトル
(通常版冒頭部分、カビが発生していた箇所、上映会・タイトル。全体通して色味が褪せて赤みがかっているが、画質自体はシャープなものであった)

ドラキュラ版の存在が99年まで知られなかったのは、通常版の初期同様に一部でしか出回らなかったからだろう。情報すら知られなかった事を考えれば、 大元近辺では流出の抑制をしていたと思われ、通常版以上に拡散スピードが低かった事を想像するのは難しくない。 それがネットオークションによって拡散スピードが飛躍的に加速した。少しづつでも大元を離れた結果であろうが、改めてネットを媒体としたスピードには 驚嘆を覚える。今後全く新しいバージョンが発見された場合でも、初期情報と拡散の担い手はネットが主となるだろう。

追記:高画質版こと「ニコ動版」は上記に書いた通りであった。ニコニコ動画にアップされたものがX(旧Twitter)の投稿によって瞬く間に広まったのだ。上記を書いたのは2000年前後だと思うが、四半世紀経っての現状は感慨深いものがある。そして、未だに復権されず欠番状態で、新バージョンがネットで披露されたという事態も奇妙な感覚である。(26年02月追記)

亜流として「デジタル補正版」と呼ばれるものが存在する。今回検証したものはドラキュラ版の特徴の一つである「赤い色調」が―緑がかっているものの― オリジナルに近いものた。どのような経緯で作られたのか全く不明ではあるが、恐らく機械的に色調を弄ったものと推察する。というのも ドラキュラ版の特徴―Bパートの頭に通常版のAパートラストが残っている等―がそのままだからだ。PCなどで色調を変更・編集したのであれば、 不自然なシーンにも手を加えられておかしくないはずだが、一切手を加えられていない。登場したのもドラキュラ版より幾らか遅い程度で、時代的にもPCのマシンパワーが個人で映像編集するには低く、記録媒体としてのDVDは普及し始めたかどうかという 時期のものである。可能性としてはデジタルビデオにダビングする際か、ダビング後に色調調整したのではないだろうか。だが、「デジタル補正版」とはほんの一時期言われていたものであり、今回検証したものが該当するかの判断は保留したい。
亜流タイトル 亜流レストラン ドラキュラ版レストラン
(左が亜流版のタイトル。中央が亜流、右がドラキュラ版。比較してみると亜流はかなり画質が安定している。かなり程度の良いドラキュラ版が元か?)








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