TNT版
アメリカのケーブルテレビ、TNT(Turner Network Television)で放送されたもので、音声は英語に吹き替えしている。画質はさすがと言うべきか、目を見張るものがある。輪郭のシャープさが欠けるものの、発色は非常に良い。
また、画像として「まるで吸血鬼ドラキュラ〜」と百窓夜景が初めて認知されたバージョンでもある。
TNT版は93年頃から放送され、12話は2000年の放送終了までに最低4回以上は放送されたようである。ただ、放送スケジュールなどは案外いい加減で、
放送予定にあっても潰れたり、12話以外の話数で放送されず仕舞いに終わった回もある。また、円谷プロでは正式な海外版としてカウントしていなようで、
『海外版』としてアナウンスされているハワイ版と違い特撮誌でも扱われる事は殆どなかった。TNT版放送の経緯に関して「―712―」に参考記事が掲載されているので参照されたい。
出回っているものは98年の春頃に放送されたもののようだ。98年以前にもパソコン通信などで一部に知られた存在ではあったが、
この98年版がアメリカから流入した事とネットで紹介された事により広く知られるようになった。
違いとして先ず挙げられるのタイトルである。そのまま訳せば「From planet with love」とタイトルの元ネタとなった007の「ロシアより愛をこめて」
の原題のようになるのだろうが、TNT版では「Crystalized Corpuscles」(結晶化された血球)というタイトルに変更されている。OPもアニメーションを使った
独自のものに変えられており、クレジットは独自につけたEDに入る。


(TNTオープニング。下段中央はCM明けアイキャッチに、下段右はEDに使用されている)
CM入りは都合3箇所

(CM入りはフェードアウト処理がなされ、若干削られている)

(アイキャッチが入り、右下にTNTロゴが出る。CM明け1は明けて直ぐ、CM明け2はやや遅れて、CM明け3はアイキャッチの時点でロゴが出ている)
内容もオリジナルから幾分カットされ、翻訳により大分変更されている。また、オリジナルの音楽が挿入している箇所もある。箇所は以下の通り。
シーンナンバー | シーン | 変更内容 |
9 | 研究室 | 全てカット |
10 | 住宅地の道 | アンヌが並木道を歩いているところがカット |
〃 | 〃 | 伸一の「ケーキだね〜」からカット |
20 | 坂道 | 冒頭、百窓が見えてくる所がカット |
24 | 部屋の中 | オリジナルのBGMが挿入されている |
41 | 住宅地 | 冒頭のポインターが走ってくる部分が短い |
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47 | 湖のほとり | オリジナルのBGMが挿入されている |
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47 | 湖のほとり | シーンラストが少しカットされている |
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― | 戦闘 | オリジナルのBGMが挿入されている |
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訳に関してはスペル星人の血液を求める理由″の変更が大きい。本来は自らの核兵器―スペリウム爆弾―実験の結果による血液の汚染―白血球の減少―を
人間の血で補おうというものが、TNT版では「強力なエネルギー源」とされた。これはどうやらオリジナルにある「まるで吸血鬼ドラキュラ〜」という箇所から
発展(?)して、TNT版ではスペル星人をそのまんまドラキュラ化した為のようだ。これは欠番問題の発端となった「ひばく(被爆)星人」ではなく、僅かに使用された
ことのある「吸血宇宙人」である。
TNT版の亜流として『ミレニアム版』『日本語差し替え版』がある。ミレニアム版とは2000年1月15日に放映された最終放送のもの。違いとして、
右下にTNTのロゴが常に出ている状態にある。出回っているビデオはCMカットされていないものが多いようだ。日本語差し替え版はミレニアム版の
音声をドラキュラ版に差し替えたもの。レコード版にも「まるで吸血鬼ドラキュラ〜」の部分が収録されているが、他のカット部分が多く使用素材としては
不向きである。日本語差し替え版は音声が安定しているように思われるのでドラキュラ版を使用したと判断する。ただ、残念な事にミレニアム版を使っている割には
画質がイマイチな事であった。が、概論にも書いた通り、現在ではPCを使った編集レベルが向上している事もあり、画質の良い「日本語差し替え版」も
あるようだ。
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