裏テレシネ版
今までの分類に入らない謎のヴァージョン。某事情通氏が「フィルムを入手した個人がテレシネしたものではないか」と言っていた事から、「裏テレシネ版」と命名された。
特徴の最たるものが「画面が縦長(スクイーズ状態)」。

(完全版の上下をカットし縦横比を変更したもの[中央]と裏テレシネ版[左]との比較。全く同じものになっている)
一番近いのが、テレビ版のOPスクロール部分だが、これは全編がその状態。本来はシネスコサイズに矯正するところを矯正せずにテレシネしたようだ。

(左の裏テレシネ版と中央のテレビ版を比較するとテレビ版は若干トリミングされている。タイトル画面も同様である)
以下、各バージョンとの比較。
(裏テレシネ版のスクーズ状態が良く判るシーン)
テレビ、海外版と違って、裏テレシネ版は人数が全て入っている。また、海外版はテレビ版に比べてやや右よりのトリミングである事も判る。


また、オリジナルは86年仕様(カット)版同様に2箇所カットされているようだ。検証に使用したものはカットされている人喰いシーンをTV版から、軟体人間部分は海外LDのものが挿入されているため、その2箇所だけスタンダードサイズになっている。海外版LDは81年頃にアメリカでテレビ放映されてからの発売であるので、海外版発売以降のものだろうと思われる。


(左から収録画像、完全版から修正した予想図、完全版。カットされていなければ、予想図のようなものになっているはずである)
この素材は80年頃レンタルされていた16mmである。ドラマCD解説書にはレンタルフィルムもカットされている旨が記載されており(人喰いシーンが16秒、軟体人間シーンは1分02秒カット)、カット部分が一致するからだ。ただ、現在ではレンタルされていないようである。恐らく、86年のビデオ発売中止後にレンタル16mmも同様の措置をとられたのではないかと考えられる。
そして、面白い事に冒頭に警告が入っている。「雰囲気を味わう」などの遊びで入れたものなのか、地下ビデオ業者がダビングを抑止する目的で入れたのか……。裏ビデオは兎も角、特撮関連の地下ビデオ業者なんてものが存在するのかは判らないが(笑)

このように謎なヴァージョンではあるが、シネスコではなくスタンダードでもないという点で機会があれば見てみるのも一興だろう。今回検証に用いたものは画質が今一つであり、視聴には向いていなかったが(差し替え部分は他の部分より画質が上がっている)。
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